京大呼吸器外科 京都大学医学部附属病院呼吸器外科

京大呼吸器外科 京都大学医学部附属病院呼吸器外科

縦隔腫瘍(胸腺腫など)とは?

縦隔腫瘍(胸腺腫など)とは

まずは縦隔とはどの部位か:
縦隔とは、胸部のうち、左右の肺と胸椎(脊椎)、胸骨に囲まれた部位を指す。正常な胸部レントゲン正面像では、簡単に言うと左右の肺に挟まれた領域(右写真)ということになり、胸腺、リンパ節、(心臓)、大血管、気管、食道、交感神経幹などがあります。

縦隔腫瘍の種類と症状は:
縦隔腫瘍は縦隔の組織や臓器に発生する腫瘍で悪性(癌)のものを含みます。その中でも、胸腺腫、胸腺癌、胚細胞性腫瘍(奇形腫、絨毛がん、卵黄嚢腫瘍)の一部は外科治療が中心になります。症状に関して、複視や筋力低下等の重症筋無力症の症状の他に、胸痛や胸部圧迫感などが出ることもありますが、無症状のことも多いです。

縦隔の影があると言われたら:
呼吸器外科医と呼吸器内科医はいずれに相談してもらっても、連携して診断・治療を行うことが多いため、気兼ねなくご相談ください。京都大学附属病院では、他部門とも連携して比較的稀な縦隔腫瘍の診断と治療にも対応し、データベースや検体を利用した基礎研究・臨床研究を行う事で治療成績の向上に努めています。


京都大学呼吸器外科による縦隔腫瘍治療の特色

1.テーラーメイドの手術・治療を提供します。
原則として術前に早期と考えられる縦隔腫瘍に対しては、胸腔鏡またはロボット支援手術を、進行していると判断した縦隔腫瘍に対しては開胸によるアプローチを選択していますが、術前に京都大学呼吸器外科チームとして、安全性・根治性・侵襲性のバランスを考えた手術を行います。治療効果があると見込めば、他臓器(大血管、神経、胸壁)に浸潤した腫瘍の切除も行います。

2.多くの縦隔腫瘍治療の経験があります。
縦隔腫瘍は比較的に稀な腫瘍であるため、豊富なスタッフの経験と技量を集結して治療方針を決定します。

3.もっと良い治療を目指して研究を継続しており、その結果を治療成績に還元するよう努めています。
現京都大学のスタッフが関わった研究成果である論文を以下に示します。

  • Postoperative radiotherapy is effective for thymic carcinoma but not for thymoma in stage II and III thymic epithelial tumors: the Japanese Association for Research on the Thymus Database Study.(大政 伊達他)
    胸腺癌切除後の放射線治療により再発予防効果が得られる可能性を示しました。
  • Long-Term Outcomes of Surgical and Nonsurgical Management of Stage IV Thymoma: A Population-Based Analysis of 282 Patients.(濱路他)
    4期進行胸腺腫に対する外科治療の成績と内科的治療の成績を解析しました。
  • Predictive factors of myasthenic crisis after extended thymectomy for patients with myasthenia gravis.(安藤 大政 伊達他)
    重症筋無力症に対する胸腺切除後に、重症筋無力症の症状が悪化する予測因子を解析しました。
  • A meta-analysis of debulking surgery versus surgical biopsy for unresectable thymoma.(濱路 大政 伊達他)
    完全切除が難しい胸腺腫でも、可能な限り切除することにより生存が改善する可能性を示しました。
  • Survival and treatments in patients with incompletely resected thymoma.(濱路 大政 伊達他)
    不完全切除となった胸腺腫でも追加治療により生存が改善する可能性を示しました。

ページトップ


©〒606-8507 京都市左京区聖護院河原町54 TEL.075-751-3111(代表) トピックス最新情報